「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」とは、「平家物語」の冒頭の一節として広く知られた言葉。 「諸行無常」とは仏教の根本的な考えの一つで、「この世の中に一定のものはなく、絶えず変化し続ける」という意味です。新車で買ったピカピカの車も、どんなに丁寧に乗ってもやがて古くなってしまいますし、人間で例えるならば、かわいい赤ちゃんも大人になり、そして老人となっていつか命を終えていきます。つまり、この世の中に永久不変のものは無いという意味です。 さて、「諸行無常」というと、花が散っていくとか、命が終わっていくような、いわゆる「世の中のはかなさ」をイメージされるかもしれませんが、決してそうばかりではないように思います。私の好きな歌に中島みゆきさんの「時代」があります。
※「時代」 作詞:中島みゆき
今はこんなに悲しくて 涙もかれ果てて
もう二度と笑顔にはなれそうもないけど
そんな時代もあったねと
いつか話せる日がくるわ
あんな時代もあったねと
きっと笑って話せるわ
だから今日はくよくよしないで 今日の風に吹かれましょう
まわるまわるよ時代はまわる
喜び悲しみくり返し
今日は別れた恋人たちも生まれ変わってめぐりあうよ 旅を続ける人々は
いつか故郷に出会う日を
たとえ今夜は倒れても
きっと信じてドアを出る
たとえ今日は果てしもなく
冷たい雨が降っていても
めぐるめぐるよ時代はめぐる
別れと出会いをくり返し
今日は倒れた旅人たちも
生まれ変わって歩き出すよ
今年は新型コロナウイルスの影響で本当に大変な年になりました。コロナウイルスの影響でつらく、悲しい思いをするのは無常。しかし逆に、どんなにつらく苦しいことも、ずっとそのままではない、やがて必ず苦しみ悲しみから立ち直っていくのも無常といえるのではないでしょうか。 2021(令和3)年が私たちにとってどのような年になるかまだわかりませんが、喜び悲しみをくり返すこの諸行無常の世の中で、どんなときも常にこの私を照らし続けてくださる仏様がいらっしゃる事を忘れずに、力強く歩ませていただきたいものであります。

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